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がんプロトピックス第1回「最新のがん薬物療法」

アウトライン

近年の抗がん剤

最近の抗がん剤は種類が増え、点滴時間が短くなり、強い副作用も減るなどの改善がなされています。
以前は、抗がん剤治療のために入院をしなければならないというイメージありましたが、
最近は外来で治療が可能が可能になり、自宅や職場で社会生活を送りながら治療を行えるようになりました。
金沢大学病院では、通院で抗がん剤治療を行う患者さんのために、リクライニングチェアーを用意し、
一度に19人の患者さんが治療できるように用意しています。

分子標的薬による治療

分子標的薬は、がん細胞の上皮成長因子受容体から信号が伝わることによって増殖するがん細胞を、
その受容体からの信号を阻害することによって、がん細胞を殺していきます。
たとえば、手術が出来ないくらいに進行してしまった肺がん患者さんの場合、
イレッサやタルセバという分子標的薬を1日1錠服用してもらいます。

分子標的薬のメリットとして、事前に検査をすることで効果があるかないか、予測することができます。
例えば肺がんの場合、EGFR遺伝子異変があれば、イレッサやタルセバが高確率で効きます。
しかし、やはり程度の違いがあるものの副作用があるため、専門の病院で治療を受けることが重要です。

分子標的薬のこれから

イレッサやタルセバによる治療では、1年後に必ず再発してしまいます。
金沢大学がん研究所は、肝細胞増殖因子がイレッサへの耐性を誘発することが原因であることを明らかにしました。
同研究所の松本教授は、NK4という肝細胞増殖因子の効果をなくす薬を開発し、動物実験で効果を確認しました。
現時点においては、イレッサに耐性を持った場合は、タルセバに変更したり、
普通の抗がん剤治療に一度切り替えて再びイレッサによる治療に戻るなどで、有効な延命治療がおこなわれています。

最後に

がん治療においては、がんの種類、がんの進行度、それに対する標準的治療とその効果・副作用、
そしてその他の治療の可能性なども聞いておくことが重要です。
また、主治医と患者の間で互いに人格を尊重し、信頼関係を持つことも大事ですし、
セカンドオピニオンを利用して、主治医以外の医師から意見を求めることで、
自分にとって最適の治療を考える機会になります。

今回の講師について

矢野 聖二 先生

  • 1990年 徳島大学医学部医学科卒業(徳島大学第三内科)。
  • 1995年 徳島大学大学院医学部研究科博士課程修了、学位取得。
  • 1997年 徳島大学医学部助手(第三内科)。
  • 1997年 米国テキサス大学MD Anderson Cancer Center(Visiting Assistant Professor)。
  • 2000年 徳島大学医学部・歯学部附属病院講師(呼吸器・膠原病内科)。
  • 2007年 金沢大学がん研究所腫瘍内科教授、金沢大学医学部附属病院高度がん先進治療センター長。
専門分野
  • 臨床腫瘍学、分子標的治療、肺がん
学会活動
  • 日本癌学会評議員
  • 日本臨床腫瘍学会評議員
  • 日本がん転移学会理事
資格
  • 日本内科学会 認定内科医、総合内科専門医
  • 本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医

講演情報

  • 2009年12月5日(土)
  • がんプロ市民公開講座
  • みんなで知ろう!がんの最新治療
     ~分子標的薬からロボット手術まで~
  • 金沢市文化ホールにて