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慢性リンパ性白血病(まんせいりんぱせいはっけつびょう)

1.慢性リンパ性白血病とは

慢性リンパ性白血病とは血液成分に含まれるリンパ球という白血球ががん化した病気のひとつです。小リンパ球性リンパ腫と同じものと考えられています。病気の広がり方によりリンパ節での増殖が主体であれば小リンパ球性リンパ腫、血液中のリンパ球増加が主体であれば、慢性リンパ性白血病と呼ばれます。血液中に成熟した異常リンパ球が著しく増殖します。

慢性リンパ性白血病の疫学

原因はわかっていませんが慢性リンパ性白血病は欧米に多い疾患で、欧米では全白血病の約30%をしめますが、本邦では約3%で、年間発症率は10万人に0.3人程度です。好発年齢は60歳以上で、高齢者に多い白血病です。女性より男性にやや多く、白人が有色人種に比して多いのも特徴です。

2.症状

慢性リンパ性白血病は通常非常にゆっくりとした経過をとるために、発症初期はほとんど症状がありません。健康診断や他の病気の検査で偶然見つかることも多い病気です。多い症状としては、全身倦怠感、リンパ節腫大、脾腫、肝腫大、体重減少、発熱などです。また骨髄(血液を造るところ)で異常リンパ球が増殖するので、正常の白血球が減少し、感染しやすくなります。また貧血によるふらつき・息切れ・動悸、血小板減少による出血傾向なども症状として現れます。溶血性貧血などの自己免疫性疾患の合併や、他の悪性腫瘍の合併もしばしば認められます。

3.診断・検査

血液中の白血球が増加しさらにその中で成熟したリンパ球が増加していれば(5,000/mm3以上)慢性リンパ性白血病を疑います。この時その成熟したリンパ球が何らかのウイルス感染のときに増加した反応性のものか、リンパ球のがん化したものかを調べるために、細胞の表面にあるマーカーと呼ばれる“しるし”を調べたり、そこに含まれる遺伝子の異常を検査します。さらに、前リンパ性白血病などの特殊な白血病や悪性リンパ腫が白血病化したものと鑑別する必要があります。これらの病気とは治療法が異なるために、しっかり区別する必要がありますが、診断が困難な場合もあります。通常血球が増殖する場所である骨髄の検査も行います。

また、腫大したリンパ節や、肝臓・脾臓を詳しく調べるために全身のCT検査が行われます。

4.病期(ステージ)

慢性リンパ性白血病は基本的に低悪性度のリンパ性腫瘍ですが、診断されてからの進行具合は様々です。未治療で10年から20年問題なくすごされて、他の原因で亡くなる方から、この病気が原因で2,3年で亡くなる方までいます。このため病期の進行度を判定するために病期(ステージ)分類があります。これは後に述べる治療のタイミングを決めるためにも有用です。分類は下に示すようにRai分類とBinet分類の2種類があり、いずれも慢性リンパ性白血病の経過によく相関し、その後の平均生存期間をある程度推定できます。

表:慢性リンパ性白血病の病期分類
Rai分類
病気 基準 生存期間(年)
0 リンパ球増加のみ 14.5年
I リンパ球増加+リンパ節腫脹 9
II リンパ球増加+脾腫または肝腫大 5
III リンパ球増加+貧血 2.5
IV リンパ球増加+血小板減少 2.5

病期0は低危険度群、Ⅰ,Ⅱは中間危険度群、Ⅲ,Ⅳは高危険度群

Binet分類
病気 基準 生存期間(年)
A リンパ球増加+2ヶ所以下のリンパ組織腫大 14
B リンパ球増加+3ヵ所以上のリンパ組織腫大 5
C 貧血または血小板減少 2.5

その他、リンパ球の増加時間、骨髄中のリンパ球の比率、末梢血中のリンパ球の数や比率、チミジンキナーゼ・LD・β2-マイクログロブリンなどの検 査値、白血病細胞の遺伝子変化、などが病期の進行度(予後)と関連するといわれています。

5.治療

慢性リンパ性白血病は上述のように基本的に低悪性度のリンパ性腫瘍で、通常はゆっくりと進行しますが治癒が難しい病気です。したがって早期に治療を開始しても、その後の生存の延長に関係するかははっきりしていません。どの次期に治療を開始するかについては、以下の徴候を基準にすることが多いです。

  • 慢性リンパ性白血病に関連する症状(極度の倦怠感・寝汗・発熱など)
  • 貧血や血小板減少の進行
  • ステロイド治療抵抗性の溶血性貧血や血小板減少
  • 進行性の脾腫
  • 急激なリンパ球の増加、リンパ節腫大
  • 著しい免疫グロブリンの低下

白血病細胞内の異常蛋白の増加や、ある表面形質など予後不良因子があれば、この基準を満たさなくても治療を開始する事もあります。

化学療法

慢性リンパ性白血病の治療の基本は抗がん薬による化学療法です。従来はアルキル化薬という抗がん薬を中心に行っていましたが、近年になり、フルダラビンや分子標的療法の有効性が確立され、標準治療として用いられるようになってきました。

アルキル化薬では欧米ではクロラムブシルが用いられていますが、これは本邦では認可されていないので、シクロフォスファミドの内服が行われています。アルキル化薬単独の治療で完全寛解が得られることはあまりありませんが、奏功率は高く、第一選択薬として用いられてきました。

フルダラビンはプリン体と呼ばれる核酸に類似した構造を持つ抗がん薬で単独の治療でも、シクロフォスファミドとの併用でも用いられます。

Bリンパ球の表面に発現しているCD20に対する抗体(リツキシマブ)の有用性も報告されており、フルダラビンやシクロフォスファミドとの併用が行われますが、わが国ではリツキシマブの慢性リンパ性白血病に対する保険適応は無く、臨床試験として扱われることになります。また同じようにリンパ球表面に発現しているCD52に対する抗体も有用と報告されています。

その他の治療法

若年者の慢性リンパ性白血病の治癒をめざして、造血幹細胞移植が行われる事がありますが、毒性が強く治療関連死亡も高いため、標準的な治療法とはいえません。

また、主に症状の緩和を目的として、巨大な脾腫に対して脾臓の摘出手術や、巨大リンパ節に対して放射線療法が行われることもあります。