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急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)

1 造血の仕組み

血液の中には、白血球、赤血球、血小板という3系統の細胞が存在します。赤血球は肺で酸素を取り込み、体中の様々な臓器に運びます。また臓器の細胞から二酸化炭素を受けとり、肺に運んで体の外に出す働きも担っています。貧血(赤血球が減少すること)が生じると、十分な酸素を体中に送るためには心臓の動きを速くする必要があるため、動悸や息切れを感じるようになります。血小板は血を止めるように働きます。血小板が少なくなると、血が止まるまでの時間が長くなったり、外傷がないのに自然に出血したりすることがあります。

白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球という細胞が含まれます。中でも細菌から体を守る役割をしているのが好中球で、白血球の約半分を占めています。白血球が減る、つまり好中球が減ると細菌に弱くなってしまいます。

白血球・赤血球・血小板は、骨の真ん中にある骨髄という臓器で造られます。骨髄は一見すると血液と変わらない液状の臓器です。骨髄の中には、造血幹細胞とよばれる細胞が存在します。造血幹細胞は血液の3系統全ての細胞を造る働きを持っています(図1)。造血幹細胞が少なくなると、3系統の細胞全てが減少します。

2 急性白血病

急性白血病は、急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病の2つの種類に分かれます。さらに急性骨髄性白血病には表1のように様々なタイプのものがあります。ここでは主に、急性前骨髄球性白血病を除く急性骨髄性白血病について解説します。急性骨髄性白血病は、英語ではAcute myeloid leukemiaと書きますが、その頭文字をとってAMLと略されます。

3 急性骨髄性白血病とは

急性骨髄性白血病は、造血幹細胞から好中球・好酸球・好塩基球、単球、赤血球、血小板を造る細胞に少し分化した細胞(図1の○で囲んだあたりの細胞)がいわゆる「がん化」して起こる病気です。急性骨髄性白血病の「骨髄性」とは、好中球・好酸球・好塩基球、単球、赤血球、血小板のすべてを示す言葉で(リンパ球は除きます)、骨髄という場所を指しているわけではありません。

一方、Bリンパ球やTリンパ球を造る細胞に少し分化した細胞ががん化すると、急性リンパ性白血病という病気が生じます。

がん化が起こるのは、骨髄系の若い細胞(図1の○で囲んだ細胞)の遺伝子に異常が生じるためですが、どうして遺伝子に異常が生じるかはよく分かっていません。

4 急性骨髄性白血病の症状

胃癌が胃に発生するように、急性骨髄性白血病は骨髄の中で発生します(まれに骨髄以外から生じることもあります)。白血病の細胞が骨髄中で増えると、正常の造血幹細胞が減少するため、血液の3系統の細胞を造る機能(造血)が障害されます。急性骨髄性白血病の早期には、造血障害のために好中球、赤血球、血小板の減少が生じます。好中球が少なくなると感染症(肺炎などの細菌による病気)が起こりやすくなります。赤血球が少なくなると貧血の症状(動悸、息切れ、めまい)が、血小板が減ると出血(ひどくなると自然出血)が起こります。さらに白血病細胞が増えると、骨髄から白血病細胞が漏れ出て、全身の様々な臓器に入り込み、その臓器を障害します。また発熱や全身倦怠などの症状も現れることがあります。急性骨髄性白血病の3大死因は、感染症、出血、臓器障害(腫瘍そのものによる障害)と言われています。

5 急性骨髄性白血病の診断

急性骨髄性白血病が疑われた時には、骨髄穿刺という検査を行います。この検査により白血病細胞を採取し、以下に述べる様々な検査を行い、診断を付けます。

骨髄穿刺は、胸の真ん中の胸骨という骨か、腸骨という腰の部分で行います。まず、皮膚に麻酔をかけ、骨髄穿刺用のボールペンの芯ほどの太さの針を骨に刺し、1〜2cc程の骨髄液を注射器で吸い取ります。このとき一瞬ですが痛みを感じます。

採取した骨髄液で、顕微鏡で観察するための標本を作ります。そしてメイ・ギムザ染色やペルオキシダーゼ染色、エステラーゼ染色といった方法で細胞を染色し、顕微鏡で観察します。そしてまず、急性リンパ性白血病か、急性骨髄性白血病かを鑑別します。

また、フローサイトメトリという機械を使って、白血病細胞の表面に存在する蛋白を調べ、白血病細胞の特徴を細かくみます。さらに、白血病細胞の遺伝子の異常を調べるために、白血病細胞を使って染色体検査や核酸増幅検査を行います。このようにして表1のどのタイプの急性骨髄性白血病であるかを診断します。

このように詳細に急性骨髄性白血病の診断を付けることで、治りやすい白血病か、治りにくい白血病か、再発しやすいかどうか、などを知ることができます。また、そうすることで、個々の患者さんに応じた治療方法を組み立てることができます。

6 急性骨髄性白血病の分類(表1)

表1に、現在用いられているWHO分類を示します。白血病細胞の染色体検査を行い、8番と21番染色体の転座や、15番と17番染色体の転座といった特徴的な染色体異常があれば、表1の1に分類される白血病と診断することができます。それ以外の急性骨髄性白血病は、前項の検査結果や過去の抗がん剤治療歴の有無、骨髄異形性症候群という疾患が先行していなかったかどうか、などに基づいて分類されます。

表1 急性骨髄性白血病のWHO分類(FAB分類)
1 特異的染色体相互転座を有する急性骨髄性白血病
a 染色体t(8;21)を有する急性骨髄性白血病(FAB分類:M2)
b 急性前骨髄球性白血病(染色体t(15;17)を有する)(FAB分類:M3)
c 骨髄中好酸球像多を伴う急性骨髄単球性白血病(染色体16番逆位、またはt(16;16)を有する)(FAB分類:M4EO)
d 染色体11q23異常を有する急性骨髄性白血病
2 多血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病
a 骨髄異形成症候群から転化した急性骨髄性白血病
b 多血球系異形成を伴う初発急性骨髄性白血病
3 治療関連急性骨髄性白血病・骨髄異形成症候群
a アルキル化薬関連急性骨髄性白血病
b トポイソメラーゼII関連急性骨髄性白血病
4 上記以外の急性骨髄性白血病
a 最未分化型急性骨髄性白血病(FAB分類:M0)
b 分化を示さない急性骨髄性白血病(FAB分類;M1)
c 分化を示す急性骨髄性白血病(FAB分類:M2)
d 急性骨髄単球性白血病(FAB分類:M4)
e 急性単球性白血病(FAB分類:M5)
単芽球型(FAB分類:M5a)
単球型(FAB分類:M5b)
f 急性赤白血病(FAB分類:M6)
分化型(FAB分類:M6a)
未分化型(FAB分類:M6b)
g 急性巨赤芽球性白血病(FAB分類:M7)
h 急性好塩基球性白血病
i 骨髄線維化を伴う急性汎骨髄症
  j 骨髄肉腫(腫瘤形成型急性骨髄性白血病)

7 急性骨髄性白血病の治療

白血病の治療は、抗がん剤を用いて行います。これを化学療法と呼びます。急性骨髄性白血病の治療は、total cell kill(骨髄の全細胞を殺傷する)という考え方に基づいています(図2)。つまり、骨髄中に存在する白血病細胞も、わずかに残っている正常の細胞も、ほぼ全てを抗がん剤で死滅させ、正常の細胞の回復を待つという考え方です。急性骨髄性白血病治療の第一目標は、完全寛解(単に寛解とも言います)に到達することです。完全寛解とは、骨髄中の白血病細胞が骨髄全体の5%未満、つまり顕微鏡で見てほとんど分からなくなる程度に減少し、正常の血液の細胞を造ることができるようになる状態のことを言います。寛解状態を作るために行う治療(一番始めに行う治療)のことを寛解導入療法と呼びます。寛解導入療法に使われる薬剤は、ダウノルビシンやイダルビシンといったアンソラサイクリ系の抗がん剤1種類とシタラビンの併用療法です。どちらも点滴で投与します。アンソラサイクリンは3日から5日間、シタラビンは7日から10日間投与されます。

寛解導入療法開始後、白血球・赤血球・血小板が極端に少なくなる期間が約3週間続きます。この間は感染症(細菌、真菌、ウイルスなどが引き起こす疾患)が起こりやすいため、注意が必要です。また出血や貧血に対して輸血が必要となります。骨髄が十分回復したと思われる時期(通常は寛解導入療法開始後約30日)に骨髄穿刺を行い完全寛解かどうか確認します。完全寛解であれば、始めて寛解になったという意味で、この時期を第一寛解期と呼びます。完全寛解に到達した後には、シタラビンとアンソラサイクリン、又は他の薬剤との併用による寛解後療法を3から4回行い、体内に残存している白血病細胞をさらに減少させます。近年では、シタラビンの大量療法が寛解後療法として行われることもあります。寛解後療法も、寛解導入療法と同様に、治療開始後約3週間、正常の血液細胞が極端に減少する時期があり、はやり感染症などの合併症が起こりやすくなるため、注意が必要です。日本成人白血病研究グループ(Japan Adult Leukemia Study Group:JALSG)の治療成績では、急性骨髄性白血病の寛解導入率は約80%ですが、寛解した後再発することがあるため、化学療法による長期生存率は、約40%にとどまっています(http://www.jalsg.jp/04/index.html)。これは、急性骨髄性白血病全体の化学療法による治療成績ですが、事項で述べる予後因子や、患者さんの状態・合併症の有無などにより、寛解後に造血幹細胞移植を行うことがあります。

8 急性骨髄性白血病の予後因子(治りやすさの指標となるもの)

急性骨髄性白血病は、化学療法などの治療を行うことで完全に治すことが可能な病気です。ただし、残念ながら全ての患者さんが治るわけではありません。予後因子とは、治療を始める前に、化学療法で治りやすい白血病か治りにくい白血病かを予測する指標となるものです。以下に、日本成人白血病研究グループ(JALSG)の予後因子を説明します。

  • 年齢:一般的に年齢が高くなるほど治療成績は悪くなります。強力な化学療法や後述する同種造血幹細胞移植は、一般的には高齢の患者さんには行えません。
  • 治療前白血球数(末梢血中の白血病細胞数):末梢血(血液中)に出てくる白血病細胞が多いほど、予後が悪いとされています。白血球数2万/l以下とそれ以上で分けることがあります。
  • 白血病細胞のペルオキシダーゼ陽性率:急性骨髄性白血病を診断する際に、必ずペルオキシダーゼ染色で白血病細胞を観察します。ペルオキシダーゼ染色が陽性となる白血病細胞の比率が高いほど、予後がよいとする研究結果があります。
  • 全身状態:患者さんの全身状態がよいほど予後が良好です。
  • 初回寛解導入療法の反応:1回目の寛解導入療法で完全寛解となれば予後良好とされています。これは治療前の因子ではなくて、治療の反応性ということになります。
  • FAB分類のタイプ:M0, M6, M7以外のタイプは予後良好とされています。
  • 染色体:染色体とは細胞の核に存在する遺伝子を含んだ構造物ですが、正常の細胞には48本(うち2本は性別に係わる染色体)の染色体が存在します。白血病のようにがん化した細胞では、遺伝子に異常が生じるため、染色体に異常が生じることがよくあります。白血病細胞の染色体を調べ、表1の1-a, 1-b,1-cの異常を有する白血病は予後良好とされ、長期の生存率は50%以上です(特に1-bの急性前骨髄球性白血病は70%以上と極めて予後がよく、この疾患については別項で説明します)。一方で予後不良とされる染色体異常があると長期生存は20%以下となってしまいます(図3:縦軸は生存率を、横軸は生存期間を示します)。

9 予後因子(染色体を中心に)別に見た急性骨髄性白血病の治療方針

急性骨髄性白血病の最も重要な予後因子は、染色体異常と言われています。染色体により予後を、再発のリスクの最も少ない低リスク群(予後良好群)、中間リスク群(中間群)、および高リスク群(予後不良群)の3群に分けることが出来ます(図3)。低リスク群では、化学療法による長期生存率が50%を越えることより、この群の患者さんは完全寛解となった後は化学療法だけで治療を終了してもよいかもしれません。しかし、中間リスク群や高リスク群では、化学療法だけで治療を終えると50%以上の人が寛解後に再発することから、さらに治療効果を高めるため同種造血幹細胞移植や自家造血幹細胞移植併用超大量化学療法を検討する必要があります。同種造血幹細胞移植と自家造血幹細胞の方法と利点・欠点を図4・5、表2に示します。

第一寛解期での再発リスク別に分けた寛解後治療の方針を表3に示します。表3の内容は、すべての専門医が同様に考えているわけではなく、あくまでも参考です。低リスク群では第一寛解期は化学療法だけで治療を終了します。この群は再発のリスクが低いため、一般に第一寛解期では、治療関連毒性が高率に生じる同種造血幹細胞や自家造血幹細胞移植は行いません。低リスク群では、再発後の第二寛解期で同種造血幹細胞移植を検討することになります。中間リスク群では、血縁者にドナー(ドナーについては他項を参照)が存在すれば、第一寛解期に同種造血幹細胞移植を受けることを積極的に検討すべきです。血縁者ドナーが不在の時は、化学療法だけで終了するか、自家移植を受けるか、非血縁者間同種造血幹細胞移植(骨髄バンクや臍帯血バンクからの移植のことをいいます)を行うか、慎重に検討する必要があります。高リスク群では、高率に再発することから、化学療法で治療を終わるのは不十分で、血縁ドナーが存在する場合には積極的に同寿造血幹細胞移植を行うべきです。血縁者ドナー不在時には臍帯血移植を含めた非血縁者間同種造血幹細胞移植を積極的に検討すべきです。

10 同種造血幹細胞移植と自家造血幹細胞移植(図4・5)

同種造血幹細胞移植では(図4)、化学療法により完全寛解となった後に、大量化学寮法と放射照射による移植前処置を行います。移植前処置には2つの役割があります。1つ目は、化学療法後に残っている白血病細胞をさらに減少させること、もう一つは患者さんの造血細胞やリンパ球を根絶する(患者さん本人の血液細胞を造る能力も失われます)ことにより、ドナーの造血幹細胞が生着(患者さんの骨髄に着くこと)できるようにするためです。移植前処置の後、ドナーから得た造血幹細胞を患者さんに移植します。同種造血幹細胞移植では、幹細胞と同時にドナーのリンパ球も患者さんの体に入ります。リンパ球は自分と違う細胞を攻撃する機能を持っているため、移植前処置でも死ななかった白血病細胞(白血病細胞は患者さんの細胞のためドナーのリンパ球は自分と違う細胞として認識します)を攻撃してくれることが期待できます。この効果のことを、移植片対白血病効果(graft-versus-leukemia効果: GVL効果)と呼びます。移植前処置で白血病細胞を減らし、さらにGVL効果で白血病細胞を減らすため、同種造血幹細胞では自家移植に比べ、白血病の再発が少なくなります。しかしながら一方で、ドナーのリンパ球は患者さんの体の細胞も攻撃します。これは、移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)と呼ばれ、同種移植の重要な副作用の1つで、死亡原因になることがあります。

自家造血幹細胞移植では(図5)、患者さん本人の造血幹細胞を使用します。患者さんの造血幹細胞は、白血病が寛解状態となった後に移植前処置を始める前に採取し、凍結保存します。通常の化学療法の何倍も強い移植前処置とよばれる治療で、残存している白血病細胞を減少させます。移植前処置の後、凍結保存した造血幹細胞を解凍し、患者さんに戻します。これにより、移植前処置で破壊された造血能が回復します。自家移植では、ドナーが不要で、自分の細胞であるため移植片対宿主病(GVHD)は起こらないことが利点です。しかし、移植片対白血病効果(GVL効果)がないこと、また凍結保存した造血幹細胞中に白血病細胞が混ざる可能性があるため、同種造血幹細胞移植に比べ、白血病の再発が多いことが欠点です。

11 その他の治療法

A 低用量シタラビン療法

通常の寛解導入療法に用いるシタラビンの約10の1量を筋肉内や皮下注射で投与します。投与期間は2週間から3週間です。吐き気などの副作用は軽度ですが、治療効果については通常の寛解導入療法より劣ります。ご高齢の患者さんに行われることがあります。

Bマイロターグ

マイロターグという薬剤は、急性骨髄性白血病の細胞や正常の顆粒球の細胞表面に存在するCD33という名前のタンパク質に対する抗体に抗がん剤が結合しています。従って、抗がん剤が作用するのはCD33を持っている細胞だけに限られるため、通常の化学療法に比べ副作用が少ないとされています。

12 急性骨髄性白血病の看護

急性骨髄性白血病の看護では、①白血球減少(特に好中球)による易感染性、②血小板減少による出血傾向、③造血機能低下および出血による貧血の症状が主な問題点です。

A 感染予防のために身体全体を清潔にすることが大切です。

  • ① 手を洗いましょう

    手洗いは感染予防の基本です。

    • 食事前、内服前、トイレの後、目・口・鼻を触った後は石鹸でしっかり手洗いをしましょう。
    • 手が荒れるとそこに汚れや菌がたまりやすくなるので、手荒れの予防も大切です。保湿クリームを使用してください。
  • ② 口の中をきれいにしましょう

    口の中には常に多くの菌がいます。白血球が減るとこれらの菌が暴れ出し、弱くなった粘膜に感染を起こして重い口内炎になります。うがい・歯磨きを行い、口の中を清潔に保ち、口内炎の予防をしましょう。起床時の口腔内に1番細菌が多いと言われており、起床時のうがいは重要です。

    • うがいは1~2時間毎に行うと効果的です。最低限、起床時・毎食後・帰室時に行いましょう。
    • 歯みがきは毎食後、眠前にやわらかめのナイロンブラシを使用して行いましょう。使用後のハブラシ、コップは乾燥させ保管しましょう。
    • 口内炎による痛みや出血傾向によりブラッシングができない場合は、綿棒やスポンジブラシなどに変更しましょう。
    • うがいは水で十分な効果は得られます。必要に応じて薬剤を使用し、口腔内の感染予防を継続していきましょう。痛みが強い場合は主治医と相談し、鎮痛剤を使用します。
    • 手鏡があると口腔内を観察しやすいです。
  • ③ 陰部・肛門をきれいにしましょう

    抗がん剤の副作用により肛門の粘膜は傷つきやすくなります。肛門は排泄物に含まれる大腸菌などで汚れやすく、感染経路となりやすい部分です。

    • 排便後はウォシュレットを使用して陰部や肛門を優しく拭きましょう。
    • 肛門周囲に痛み、発赤、ただれなどが出現した場合は主治医や看護師へ伝えて下さい。皮膚の状態が悪化していないか毎日観察させて頂くことになりますが、その都度処置などを考え援助させて頂きます。
    • 痔のある方はお早めに医師や看護師へお知らせください。
  • ④ 身体をきれいにしましょう
    • 毎日シャワー浴をし、清潔な病衣・下着に着替えをしましょう。シャワーが出来ない場合はタオルで身体拭きをしましょう。
    • 介助が必要な場合は、身体拭きや洗髪などを看護師がお手伝いしますので申し出て下さい。
    • 皮膚の乾燥予防のために乳液・保湿クリームを使用してください。
    • 中心静脈カテーテル(鎖骨付近の静脈、頸の静脈に挿入されます)は透明の保護テープを貼り週に1回の交換を行います。カテーテル挿入後も普段通りにシャワー浴ができます。テープがはがれた場合は消毒をします。カテーテル挿入部は看護師が観察しますが、患者様自身でご確認いただき、痛みや赤みなどいつもと違うご様子があればお知らせ下さい。
  • ⑤食事に気をつけましょう

    感染症を起こしやすい時期や免疫抑制剤内服中は、食事内容に留意し、食中毒にもご注意下さい。一定期間は加熱食を摂取することになります。

    抗がん剤の副作用により、食べ物がザラザラと砂をかんでいるように感じたり、苦みが出たりすることがあります。

    ※ 病院食以外を摂取される場合は以下を参考にして下さい。

    • 《肉類・魚介類・卵などのたんぱく質類》
      • 生食は細菌類に汚染される可能性があるため刺身・生卵・半熟卵は禁止となります。
    • 《野菜・果物》
      • 生野菜は摂取できません。果物は、皮のむける新鮮で傷のないものを選び、ナイフも使用前には十分流水で洗浄します。食べ残しは、摂取しないようにしましょう。
      • 免疫抑制剤使用中は、薬物の血中濃度を変動させるためグレープフルーツの摂取はできません。
    • 《缶詰・レトルト食品・ビン詰め》
      • 缶詰は形の変形、表面の傷を確かめ、水洗いしてから切り口を開けましょう。レトルト食品も表面の傷を確かめ、水洗いしてから使用しましょう。ポットのお湯は使用できます。カップ麺、缶詰、レトルト食品、ビン詰め類は、開封した日に使い切りましょう。
    • 《ブリックパック・アルミパック》
      • 無菌充填・加熱殺菌の表示があり、賞味期限内であれば、ブリックパック(牛乳、ジュース)やアルミパック(プリン、ゼリー)は摂取可能です。
    • 《缶・ビン飲料・ペットボトル》
      • 沸騰したお湯で入れたお茶やコーヒー、紅茶は摂取できます。輸入ミネラルウォーターは、滅菌行程が定かではないので国産品にしてください。飲料用の缶、ビン、ペットボトルは、開封後24時間以内に摂取し、残ったものは捨てましょう。開封後は冷蔵庫で保存しましょう。
      • ペットボトル、缶ジュース(ただし、炭酸飲料は粘膜障害を悪化させるので控えてください)を摂取する際は直接口をつけると、常在菌が繁殖するため手持ちのコップに移して飲水して下さい。
      • 使用したコップ、食器類は洗浄した後は乾燥させて下さい。自然乾燥で結構です。
    • 《アイスクリーム》
      • 個別密閉包装されているものは摂取可能です。
    • 《調味料》
      • 加熱された個別パックの調味料は摂取可能です。1回毎の使用とし、残りは処分しましょう。
    • 《摂取が望ましくない食品》
      • 生肉、生魚(寿司を含む)、ドライフルーツ、発酵食品(チーズ、納豆、ヨーグルト、生味噌類。ただし味噌汁は沸騰させているため可)ラズベリーのような表面の粗い生フルーツ、生の木の実、梅干し、自宅で漬けた漬物、調理後2時間以上経った食品、期限切れの全ての食品
      • 家庭で作ったもの
      • サンドイッチ、ファーストフード、デパートやコンビニの弁当、惣菜。
      • 下痢が生じた場合は、牛乳やヨーグルトなどの乳製品の摂取は避けましょう。

      ※また、調理したものには落下菌の混入を予防するために、ラップまたは蓋をしておきましょう。以上のほかに、「これなら食べられそうだけど大丈夫かな?」というものがありましたら、看護師にお尋ね下さい。

  • ⑥クリーンルーム(無菌室と呼ぶこともあります。)

    造血細胞移植や化学療法を受けることで、感染しやすい状態になっている患者様には、当病棟では「クリーンルーム」と呼ばれる病室に入室していただきます。この病室は少しでも感染の機会が少なくなるように工夫されています。

    • <クリーンルームの特徴>
      • 気流を一定方向に送ることで頭部周辺の清潔度を高くし、呼吸器感染症(主にアスペルギルス感染)の予防を目的としています。あらゆる感染症を予防するものではなく、また、病室の出入り口付近になると清潔度はかなり低くなります。
      • 天井にはヘパフィルターが設置されており、部屋の奥から出入り口に向けて気流を一定に保ち、清浄化されています。
      • ベッドの置かれている透明カーテンの中は、頭元のアイソレ-ターから足元に向けて、陽圧をかけることにより、更に清浄化されています。
      • 滅菌水の出る洗面台が設置されています。
      • クリーンルームに入室していても、感染しないとは限りません。免疫力が低下すると、普段から身体の中や表面にいる常在菌で感染し危険な状態になる場合もあります。そこで感染予防行動を患者様自身が意識して行っていくことが大変重要となります。
    • <クリーンルームで過ごす上での注意>
      • 原則としては室内で過ごし、他科受診は原則として往診となります。
      • 検査のため室外へ出る場合はマスクを着用し、部屋に戻った時にはうがいと手洗いをして下さい。
      • ベッドから降りる時(排泄、洗面など)以外、透明カーテンはなるべく閉めて下さい。トイレや洗面時など、透明カーテンから出る時はマスクを着用下さい。
      • 医師や看護師が診察・処置など透明カーテンの開け閉めを行う際は、アイソレーターを低速(普段の状態)から高速に切り替えます。
      • 毛布やぬいぐるみなど毛羽立ったものは埃がたまる原因になります。植物やドライフラワーには菌や虫がいたりします。持ち込みはお控え下さい。
    • <クリーンルームでの面会について>
      • 面会者は清潔な見だしなみを心がけてください。
      • マスクを着用し、手洗いをし、面会をしてください。
      • 面会者のクリーンルーム内での飲食及びベッドに座ることは止めてください。
      • 感染性疾患を有する場合は面会を避けてください。(風邪、インフルエンザ、麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘などに感染の可能性がある場合。帯状疱疹にかかっている場合。水痘性ワクチン接種後6週間以内で水痘様発疹が認められる。ポリオ経口ワクチン内服後3~6週間以内)
      • 乳幼児の面会はご遠慮ください。

    B 出血を予防するためには安静が大切です。出血をさけるために誘因となるような行動は控えましょう。

    • 鼻を強くかまないで下さい。
    • 強く咳をしないで下さい。
    • 爪を短く切ってください。
    • 剃刀や硬い歯ブラシは使用しないで下さい。
    • 体をしめつけない寝衣を着て下さい。
    • 採血の後はしっかりと血が止まるまで押さえてください。
    • 転倒や打撲に注意してください。
    • 便秘にならないよう調節してください。

    ※ 血尿・血便・血痰・鼻出血・歯肉出血・点状出血・腹痛・頭痛などの症状があれば、医師や看護師にお伝えください。

    C 貧血になると息切れや倦怠感・動悸・頭痛・めまいなどの症状が出現します。安静に過ごしてください。酸素吸入や輸血を行うこともあります。

    白血病の治療は副作用も強く、患者様も見守っておられる御家族もとてもつらいことと思います。不安もたくさんあることでしょう。私たち看護師は、少しでも皆様の力になれることを望んでいます。不安なこと・困っていること・わからないことなどいつでもお話しください。