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胆道癌(たんどうがん)

1 胆道がんとは

胆道がんとは胆道にできる癌で,発生する場所によって「胆管がん」「胆のうがん」「十二指腸乳頭部がん」と呼ばれます.

1)胆道の構造と働き

胆道とは,肝臓から十二指腸に胆汁を流す経路のことです.パイプのような「胆管」,袋状の「胆のう」,十二指腸への流出口の「乳頭部」で構成されます.胆管は場所によって肝門部,上部,中部,下部胆管に区分されます.(図1)

胆汁は黄色透明の液体で,食べ物の消化を助ける働きがあります.


図1

2)疫学

胆道がんは世界的にみて日本を含めた東アジアと南米のチリに多いといわれています.年齢では50歳以上に多く,本邦においては男性で9番目,女性で7番目に頻度の多いがんです.胃がん,肺がん,大腸がん等より頻度は少ないものの,今後も増加が予想されています.

3)リスクファクター

原発性硬化性胆管炎,膵・胆管合流異常症,胆のう結石(胆石),胆のう腺筋症,胆のうポリープなどが挙げられます.膵・胆管合流異常症の場合,発がんする前に手術を行うこともあります.

  • 胆のう結石(胆石)・・・胆のう癌に胆石が合併する頻度は40~75%と報告されていますが,現時点では胆石と胆のう癌の明らかな因果関係は証明されていません.
  • 胆のうポリープ・・・胆のうポリープのなかで10mm以上の大きなものや,急速に大きくなるものなどはがん化の可能性があります.

2 症状

以下のような症状が挙げられますが,早期の段階ではほとんど症状が出現しないため,早期発見の難しいがんのひとつといわれます.

1)黄疸

自覚症状としてもっとも多いのは黄疸です.がんによって胆道が閉塞すると,胆汁が流れなくなるために起こります.皮膚や目の白目の部分が黄色~オレンジ色に変化します.

また黄疸になると,便中に胆汁が混ざらないために,白っぽい便が出ます.

逆に尿の色は濃くなります.

2)かゆみ黄

疸になると全身がかゆくなります.

3)腹痛・しこり

胆のうや胆管が位置する右上腹部に腹痛を感じたり,腫れた胆のうを触知することがあります.

ほかのがんと同様に,体重の減少,食欲低下,体のだるさがみられることがあります.

3 診断

胆道がんを疑った場合には,まず血液検査と画像検査を行います.

1)血液検査

血液検査では黄疸などの肝臓・胆道の酵素の異常や,CA19-9・CEAといった腫瘍マーカーを測定します.

2)画像検査

CT,MRI,腹部超音波検査が診断に有用です.超音波検査では,腹部にゼリーを塗り,装置をあてて観察します.CT・MRI検査ではベッドに横たわった状態で装置の内部に入り,体の内部の断層撮影をします.必要に応じて造影剤を注射しながら撮影します.

ここまでの検査により,胆道がんが疑われた場合には,さらに精密検査として,内視鏡を用いた内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCPと略します)を行うことがあります.専用の内視鏡を十二指腸の乳頭部まで挿入し,細いチューブを胆管・膵管に差し込んで,造影剤を流し,レントゲン写真を撮ります.胆道がんの存在や大きさ・範囲などがわかります.また胆汁や細胞・組織をとって,がん細胞の有無を調べることもあります.

このほかにも胆管鏡,血管造影,PET検査などの特殊な検査を行うことがあります.

4 病期(ステージ)

胆道がんは進行すると,近くにある肝臓・膵臓やリンパ節,血管へ直接がんが浸潤していったり,血管やリンパ管を通じてほかの臓器へ転移しやすい傾向があります.検査によって次の4段階の病期(ステージ)が確定します.

  • 病期Ⅰ がんが胆道壁内にとどまり,転移のない状態です.
  • 病期Ⅱ がんが胆道壁外にわずかに浸潤しているか,近くのリンパ節に転移している状態です.
  • 病期Ⅲ がんが胆道の近くの臓器へ浸潤しているか,比較的遠くのリンパ節に転移している状態です.
  • 病期Ⅳ がんが近くの臓器へはっきりと浸潤しているか,遠くのリンパ節や臓器に転移がある状態です.

5 治療

胆道がんの治療方法は外科手術,手術以外の治療,支持療法に分けることができます.

1)外科手術

もっとも根治性の高い治療法であり,胆管や胆のうを切除します.がんの進行度によっては,リンパ節や周囲の臓器も一緒に切除することがあります.

また根治手術が行えない場合でも,胆道にバイパスを作る手術を行うこともあります.

2)化学療法

がんの進行度や全身状態によって,手術を行わない場合や術後に,抗がん剤による化学療法を行うことがあります.現在5種類の抗がん剤が胆道がんの適応となっています.抗がん剤には注射剤と内服薬があり,近年では塩酸ゲムシタビン,テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤が比較的よく用いられています.入院して行う場合と,外来で通院しながら行う場合があります.

3)放射線療法

がんの進行度や全身状態によって,手術を行わない場合や術後に,放射線療法を行うことがあります.体の外からがんに放射線をあてる対外照射と,胆管内にから直接あてる腔内照射の2種類があります.

4)胆道ドレナージ

黄疸が出現している場合,樹脂製のチューブや,金属製のステントを胆道に挿入して黄疸を改善させることがあります.

内視鏡を用いて十二指腸からアプローチする場合と,おなかの表面から肝臓を通してアプローチする場合があります.

5)支持療法

がんによる痛みをやわらげる緩和治療や,抗がん剤の副作用を抑える治療などがあります.

痛みは体力や気力,食欲を減らしてしまうため,医療用麻薬などを適切に用いて痛みをコントロールすることは大切なことです.