急性リンパ性白血病
Ⅰ.はじめに
小児期に発症する急性リンパ性白血病(以下小児ALL)は小児の白血病/悪性リンパ腫の70%を占め、国内で1年間に推定600名の発症がある1)。化学療法により大部分は寛解し、その後長期に寛解を継続すること、すなわち治癒が得られることが分かっている。1980年代に発症した小児ALL患者の約60~70%は、寛解が得られてなお以後再発のない生存(無イベント生存、Event-Free Survival)を得ている2,3,4)。 治療の目指すところは、患者の生存である。しかし、再発後の再治療は患者にとって負担は大きく、さらに救済治療として幹細胞移植が行われた場合は、仮に長期生存を得ても、性腺機能障害、低身長、慢性GVHD(Graft versus Host Disease:移植片対宿主病)などの何らかの晩期障害を残す可能性がある。従って、治療の目標はあくまでも初回寛解を継続したままの無イベント生存と、原疾患および治療による影響を最小限にした晩期障害の残らない長期生存(治癒)の保証である。
治療の目指すところは、患者の生存である。しかし、再発後の再治療は患者にとって負担は大きく、さらに救済治療として幹細胞移植が行われた場合は、仮に長期生存を得ても、性腺機能障害、低身長、慢性GVHD(Graft versus Host Disease:移植片対宿主病)などの何らかの晩期障害を残す可能性がある。従って、治療の目標はあくまでも初回寛解を継続したままの無イベント生存と、原疾患および治療による影響を最小限にした晩期障害の残らない長期生存(治癒)の保証である。
小児ALLの99%はB前駆細胞性ALL(B-precursor ALL)またはT細胞性ALL(T-ALL)でありこの両者が小児ALLの治療の対象である(以下B-precursor ALLとT-ALLを小児ALLとする)。B-precursor ALLは小児ALLの約80%を占め、残りの大部分をT-ALLが占める。小児期のALLの1%を占める成熟B細胞性ALL(B-ALL)に対しては、成熟B細胞型の非ホジキンリンパ腫(NHL)の進行例(病期Ⅲ/Ⅳ)に行うような短期集中型の化学療法が有効であり、B-ALLは一般の小児ALLとは異なった治療計画で治療を行う5)。L3はB-ALLであることを強く示唆するのでL3であることは重要な情報である。
Ⅱ. リスク分類
小児ALLの再発リスクはすべての患者で同一ではないので、異なる再発リスクの患者には異なる治療を施す必要がある。より再発リスクの高い患者にはより強力な治療が必要であるが、同じ治療が再発リスクの低い患者には強すぎる治療となる可能性がある。すなわち患者にとって適切な強度の治療を行うには、リスク分類による層別化治療が必要である。
小児ALLを層別化するための予後因子は下記の4種類に大別される。①患者固有の情報(年齢、性)、②白血病細胞の性質(発症時の白血球数、白血病細胞の染色体異常または遺伝子異常、表面膜マーカー)、③初期治療への反応(プレドニゾロンへの反応性、寛解導入治療中の骨髄芽球の減少率)④髄外浸潤である。これらの予後因子を用いることで小児ALLは2から4段階の異なる強さの治療に層別化される。これをリスク分類という。ただし、各治療研究グループで用いるリスク分類の定義とその呼び方は同一ではない。本稿では仮に標準リスク、高リスク、超高リスクと呼ぶ。
標準リスクには、初期治療への反応が良く、表面膜マーカーはB-precursor ALL、年齢は1歳未満を除く低年齢、TEL-AML1融合遺伝子や染色体分析で高2倍体をもつものなどが含まれる。小児ALLで最も多い。
高リスクは、標準リスクよりも治療の強化が必要であると考えられた群である。表面膜マーカーではB-precursor ALLが多いが、T-ALLも含む。年齢が高く、白血球数が多い群が含まれる。初期治療への反応性が良いものと中間のものがある。
高リスクは、標準リスクよりも治療の強化が必要であると考えられた群である。表面膜マーカーではB-precursor ALLが多いが、T-ALLも含む。年齢が高く、白血球数が多い群が含まれる。初期治療への反応性が良いものと中間のものがある。
小児ALLの層別化の代表的なものはNCI基準(National Cancer Institute Criteria)である6)。NCI基準は1980年代から90年代前半にかけての、米国の主要な小児ALLの治療研究を網羅し、連続的な関数である年齢と白血球数を段階的に解析し、簡潔でかつ意味のある分類を見いだしたものである。標準リスク(Standard Risk:SR)を白血球数が5万/μl未満かつ1歳から9歳、高リスク(High Risk:HR)を白血球数が5万/μl以上または10歳以上と定義した。NCI基準は特定の治療研究グループで用いられている層別化ではないが、年齢と白血球数だけで分類できる点で治療研究グループ相互の結果を比較する時に有用である。NCI基準のSRにはB-precursor ALLの75%が、一方HRにはT-ALLのほぼ75%が含まれる。
1歳未満の乳児期のALL(乳児ALL)は、1歳以上の小児ALLとは異なり一般に予後が不良であり、異なる治療計画が必要であるとされてきた。我が国では1歳未満であることに加えて、さらに11番染色体転座によって生じるMLL遺伝子の再構成の有無で層別化される7)。1歳未満であってもMLL遺伝子再構成陰性例は1歳以上の小児ALLの治療方法に準じて良い8)。
Ⅲ. 初発急性リンパ性白血病の治療法
1. 小児ALLの寛解導入治療には副腎皮質ホルモン(プレドニゾロンまたはデキサメタゾン)、ビンクリスチン、L-アスパラギナーゼの少なくとも3剤の投与とメトトレキサートの髄腔内投与(髄注)を行う。
エビデンスレベル:Ⅰ 勧告グレード:A
小児ALLの寛解導入療法は70年代に確立した。副腎皮質ホルモン(プレドニゾロンまたはデキサメタゾン)とビンクリスチン、L-アスパラギナーゼの3剤を用いることで95%以上が寛解する9,10)。さらに中枢神経系白血病予防としてメトトレキサートの髄腔内投与を行う11)。標準リスクの寛解導入治療においてアントラサイクリンを追加する4剤投与の必要性とその用量に関しては評価が定まっていない12,13,14)。
2. 小児ALLの寛解後には再寛解導入治療などの寛解後の強化療法を行う。
エビデンスレベル:Ⅰ 勧告グレード:A
小児ALLは寛解導入治療だけで治療を終了すると、その後に高い確率で再発が起こる。小児ALLで寛解を維持し、ひいては長期寛解すなわち実質的な治癒を得るためには寛解後の強化療法と代謝拮抗剤を中心にした維持療法がきわめて重要である。
寛解後の強化療法が予後を改善することは、ドイツBFMグループ(Berlin-Frankfurt-Munster)の研究で良く示されている。彼らの報告によると、標準リスクでre-induction(再寛解導入治療)を受けなかった110例の無イベント生存は58%、受けた175例は87%であった。標準リスクで再寛解導入治療を省略する治療軽減は、過去の結果と比べて明らかに成績が低下した。彼らはすべての小児ALLに対してinduction(寛解導入治療)、consolidation(中枢神経系予防治療を含む強化療法)、re-induction(再寛解導入治療)、maintenance(維持療法)という治療スケジュールが必要かつ有用な治療であると結論している15)。
寛解後の強化療法が予後の改善につながることは、8つのランダム化比較試験のmeta-analysisでも示されている16)。
3. 小児ALLの高リスクの患者にはより強化した化学療法を行う。
エビデンスレベル:Ⅱ 勧告グレード:A
米国のCCG(Children’s Cancer Group)はランダム化比較試験で治療の強化により高リスクの予後が改善することを示した。白血球数5万/μl以上の群に対し、ドイツのBFMグループに準じた、4剤の寛解導入療法と寛解後強化療法および再寛解導入療法を行った群は、彼らの従来の3剤の寛解導入療法とビンクリスチンとプレドニゾロンを併用した代謝拮抗剤の維持療法を行った群に比べて有意に予後が良好であった17)。最も予後不良が予測される初期治療反応性の悪い例に対しては、寛解後の治療をさらに強化することで、予後が改善できることを示した18)。
4. 小児ALLの治療には中枢神経系白血病予防治療を行う。
1) 標準リスクにおいてはメトトレキサート大量療法と髄注の組み合わせで中枢神経系白血病予防治療を行う。
エビデンスレベル:Ⅰ 勧告グレード:A
中枢神経予防としての頭蓋放射線照射は、放射線照射による白質脳症や脳腫瘍の発現、さらに低身長などの内分泌障害や知的レベルに関する問題などの毒性19)が問題となり照射を回避する方向へ検討されている。メトトレキサート大量療法の普及により多くの比較研究がなされてきた11)。その結果、標準リスク症例においては放射線治療を除いても中枢神経再発および生存率に差がないことが明らかとなり、メトトレキサート大量療法と髄注による治療がおこなわれている。
2) 超高リスクやT細胞性白血病では中枢神経系白血病予防治療には現時点では放射線照射を考慮する。
エビデンスレベル:Ⅲ 勧告グレード:A
超高リスクの症例、すなわち高年齢、白血球数の多い症例、T-ALL20)などにおいては、放射線照射がおこなわれているが、さらにそれを12Gyまで減量し、静注メトトレキサートに加え長期の髄注をおこなう試みが行われている21)。しかし、比較研究の結果は得られていない。
5. 小児ALLにはメルカプトプリン(6MP)およびメトトレキサートを併用した維持療法を含め、最低2年間は治療を行う。維持療法は3年以上行わない。
エビデンスレベル:Ⅰ 勧告グレード:A
小児ALL治療の後半にはメルカプトプリンとメトトレキサートの代謝拮抗剤の併用による維持療法が必須である。維持療法の期間を含めて小児ALLには最低2年の治療が必要である15)。
米国のCCSG(Children’s Cancer Study Group)は70年代前半のランダム化比較試験で、3年間寛解を継続した群に対して、2年間の維持療法を追加した群での予後の改善がみられないことを示した22)。またその後の80年代にかけてのランダム化比較試験では、3年間の維持療法で寛解を継続した群において、1回の再寛解導入治療(強化療法)の追加、あるいは2年間の維持療法の追加はいずれも予後の改善がみられないことを示した23)。
英国MRC(Medical Research Council)は70年代のランダム化比較試験で、女児において、3年間の維持療法は2年間の維持療法と比べて予後の改善をもたらさなかったが、男児においては、3年間の維持療法を受けた群は18カ月の維持療法を受けた群と比べて有意に予後が良好であることを示した24)。さらにイタリアAIEOP(Associazione Italiana Ematologia Oncologia Pediatrica)は、79年から80年代初頭のランダム化比較試験で、彼らの低リスクと標準リスクにおいて、3年間の治療期間を2年間に短縮することが可能であったと結論している25)。
42の無作為割り付け研究を比較したmeta-analysisでは、維持療法期間を長くとった場合は3年目の骨髄再発、睾丸再発が減少するが、第一寛解期での死亡の若干の増加と相殺されて、生存率の向上には寄与していないと結論された15)。
6. MLL遺伝子再構成陰性乳児ALLに対しては、小児ALLに準じた多剤併用療法(寛解導入療法、強化療法、再寛解導入療法、維持療法を行う。
エビデンスレベル:(Ⅲ) 勧告グレード:A
MLL遺伝子再構成陰性の乳児ALLは従来の化学療法のみで良好な成績が得られており、問題となる晩期障害もない。日本ではビンクリスチン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、L-アスパラギナーゼ、ドキソルビシンの寛解導入療法、メトトレキサート大量療法、ビンクリスチン、ダウノルビシン、シタラビンによる強化療法、再寛解導入療法とメルカプトプリン、メトトレキサート、エトポシド、シタラビン、ビンクリスチン、プレドニゾロンによる維持療法を行い、その無イベント生存率は92%ときわめて良好な成績が得られている6)。また中枢神経浸潤および再発はほとんど認めておらず、頭蓋放射線照射は不要であり、髄注回数も少なくすることが可能である。
7. MLL遺伝子再構成陽性乳児ALLには強力な多剤併用化学療法と同種造血幹細胞移植併用療法を行う。
エビデンスレベル:Ⅲ 勧告グレード:B
欧州を中心としたINTERFANT99ではMLL遺伝子再構成陰性群と同じ化学療法を行い、MLL遺伝子再構成陽性例の2年無イベント生存率は白血球数30万未満で57%、30万以上で17%であった26)。
日本では1996年からビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、デキサメタゾンによる寛解導入療法とシタラビン、エトポシドによる早期強化療法、シタラビン、エトポシド、ドキソルビシンによる強化1,シクロホスファミド、メトトレキサート大量、ビンクリスチンによる強化2、シタラビン、エトポシド、ミトキサントロンによる強化3をおこない、その後同種造血幹細胞移植(allo-SCT)を行った結果、3年無イベント生存率は34%であった7)。寛解導入率は優れているものの早期再発が多く、移植時期の選定が重要と考えられた。また初回寛解中にallo-SCTを受けた症例の無イベント生存率は60%以上と高く、適正な移植時期によるallo-SCTの有用性を示唆する結果であった。さらに化学療法を強化し、統一してallo-SCTを早期に行った場合の無イベント生存率は43%と改善した27)。前処置に関しては日本のデータもCOGのデータも全身放射線照射(TBI)の有用性は証明できなかった26,27)。また移植のソースは骨髄、臍帯血ともに有用であった。
8. 思春期ALLは、小児ALLの高リスクの治療戦略に準じて治療する。
エビデンスレベル:Ⅲ 勧告グレード:A
思春期の白血病は、小児期に比べて急性リンパ性白血病(ALL)が減少し、相対的に急性骨髄性白血病(AML)の比率が上がり思春期後半に発生数はほぼ同じになる。思春期ALLは、小児期に比べて予後良好な高2倍体の例やTEL-AML1陽性例が少なく、予後不良なPh1染色体陽性例や低2倍体が増加する28)。また、FAB分類ではL2が、免疫学的分類ではT-ALLの割合が増加する。思春期ALLを含む小児ALL高リスクにおいて再発例の救済率が低いことから29)、予後因子を十分検討した上で第一寛解期の移植適応を決定する。少なくともt(9;22)やt(4;11)を有する例、初期治療反応不良のALLは、第一寛解期に造血幹細胞移植の適応があると考えられる。
Stock Wらは、思春期及び若年成人ALLについて小児(CCG:Children’s Cancer Group)レジメンと成人(CALGB:Cancer and Leukemia Group B)レジメンによる治療成績を比較検討した結果、6年の無イベント生存率は、それぞれ65%、38%とCCGレジメンの治療成績が有意に良好であると報告した30)。また、フランスの成人白血病研究グループLALA-94(と小児白血病研究グループのALLプロトコールFRALLE-93の15歳から19歳の思春期患者における治療成績を比較した結果においても5年無イベント生存率は、FRALLE-93が67%、LALA-94が41%であり、有意にFRALLE-93が良かった31)。これらの研究から思春期及び若年成人ALLの治療戦略は、小児ALLを基本としたレジメンがよいと考えられている。
9. Ph1染色体陽性ALLではHLA一致血縁ドナーが得られた場合は第一寛解期で同種造血幹細胞移植を行う。
エビデンスレベル:Ⅳ 勧告グレードA
Ph1染色体陽性ALLは化学療法のみでの無病生存率は20-53%と低い32)。本疾患に対しては初回寛解期でのHLA一致同胞からの骨髄移植は化学療法に比して有意に無病生存率が高く、第一寛解期での同種骨髄移植の適応である33)。さらにわが国では、一般にPh1染色体陽性ALLに対しては、HLA一致血縁ドナーが得られない場合は非血縁者からの幹細胞移植も推奨されているが、化学療法との比較試験は存在しない。
Ⅳ. 再発急性リンパ性白血病の治療法
本におけるALLの初回治療後5年後の累積再発率は、およそ25~30%と予想される。再発は診断される再発部位により骨髄再発と髄外再発に分類され、これらが単独にまたは同時に診断される。ALL再発後の予後は、再発部位と再発時期、白血病芽球の免疫分類によりおよそ予測される(再発リスク分類)。再発時期と部位により治療戦略は異なる。骨髄再発後の第二寛解導入率は初回治療時よりも低く、その後の第二寛解維持率も同様に低い。再発後の治療は、化学療法と造血幹細胞移植が比較検討され、決定される。
再発の時期は、一般に治療開始後18ヵ月以内、18~36ヵ月、36ヵ月以降の3群に分け、18ヵ月以内の再発を早期再発(early relapse)、36ヵ月以降の再発を後期再発(late relapse)と呼ぶことが多い。米国CCG研究34)は、再発時期が早期であるほど予後が不良であることを示している。すなわち再発後の生存率は治療開始後18ヵ月以内の早期再発例で6±2%、18から36ヵ月で11±4%、36ヵ月以降の後期再発例で43±4%である。T-ALLの再発例は、B-precursor ALLよりも予後は悪い。
ドイツBFM研究35)は、再発時期(Very early, Early, Late)と再発部位、T-ALLか否かで、3つのリスク(SR, IR, HR)に分類し、治療戦略を立てている(表1)。この治療層別化分類は、BFM治療戦略で初回治療を受け、その後再発した症例では広く受け入れられている。骨髄再発例の各リスクの予想される再発後化学療法による無イベント生存率は、IR 49±11%、HR 0%である35)。
表1.再発後リスク分類
| T-ALL以外 | T-ALL | |||||
| 再発部位 | 再発部位 | |||||
| 再発時期 | 髄外単独 | 併発 | 骨髄単独 | 髄外単独 | 併発 | 骨髄単独 |
| Very early | IR | HR | HR | IR | HR | HR |
| Early | IR | IR | HR | IR | HR | HR |
| Late | SR | IR | IR | SR | HR | HR |
- Very early:治療開始から18ヵ月以内
- Early:18ヵ月以降治療終了から6ヵ月以内
- Late:治療終了6ヵ月以降の再発
- SR:標準リスク,IR:中間リスク,HR:高リスク
1. B-precursor ALLの後期骨髄再発・骨髄髄外併発再発、すなわち治療開始後36ヵ月以降ないし再発後危険群分類(表1)のIR群に相当する症例において
第二寛解導入はALLの標準的なビンクリスチン/プレドニゾロン/L-アスパラギナーゼによる治療に、アントラサイクリンなどを加えて強化した治療を行う36)。
エビデンスレベル:Ⅳ 勧告グレード:C
第二寛解到達後は、多剤による強化地固め療法、中枢神経予防、維持療法を行う36,37)。
エビデンスレベル:Ⅳ 勧告グレード:C
HLA一致同胞ドナーがいる場合は、同種造血幹細胞移植を考慮する38)。
エビデンスレベル:Ⅲ 勧告グレード:C
強化された寛解導入療法により期待される第二寛解導入率は後期再発例で約85-90%36,37,39,40)。強化を目的にビンクリスチン/プレドニゾロン/L-アスパラギナーゼの3剤に加える薬剤について一致した意見はない。英国MRCは、早期再発例を含む全ての再発例に対してデキサメタゾン/ビンクリスチン/L-アスパラギナーゼ/エピルビシンによる寛解導入治療を行い、95%の再寛解導入率を報告している41)。一般に再発後の寛解導入療法の治療毒性発生率は初回治療よりも高くなる36)。
米国POG(Pediatric Oncology Group)研究の骨髄再発例(T-ALLを含む、髄外単独再発例は含まず)を対象にした、化学療法とHLA一致血縁者間骨髄移植のmatched-pair分析による観察は、36ヵ月以後の後期骨髄再発の76pair例で、移植例の再発後の無病生存率 (53±7%)が、化学療法の場合(32±6%)と比較して良好であることを示している38)。
この後期骨髄再発例に対する第二寛解期の非血縁者間骨髄移植については、ドイツBFM研究のmatched-pair分析による観察が報告されている35)。表1のIR群に分類された化学療法例(28例)と非血縁者間骨髄移植例(28例)の再発後無病生存率はそれぞれ49±11%、39±10%であり有意差がない。一方、ALL-REZ BFM 87の長期観察では、HLA一致血縁者間移植を行った12例中10例が10年以上無病生存を続けていると報告している42)。
また、再発後の寛解導入療法早期の微小残存病変(MRD)が陰性の例は、化学療法での予後が良好であることから(p4, 治療成績に影響を及ぼす因子 I-1-7)-⑤を参照)、後期骨髄再発例の移植適応の決定にMRD所見が参考となる。
2. 治療早期骨髄再発、骨髄髄外併発再発、またはT-ALL、すなわちBFM再発後リスク分類のHR(表1)には標準的な寛解導入治療はないが、第二寛解期に導入された場合は非血縁ドナーを含む同種造血幹細胞移植を行う35,38)。
エビデンスレベル:Ⅲ 勧告グレード:Cこの群に対する標準的な寛解導入治療はない。第二寛解導入療法としてシタラビン大量とエトポシド併用療法43)、シタラビン大量とイダルビシン併用投与44)などが試みられている。後者の第二寛解導入率は82%であったが早期死亡10%と報告されている。英国MRCのデキサメタゾン/ビンクリスチン/L-アスパラギナーゼ/エピルビシンによる寛解導入治療は、研究対象群の18%が診断後2年未満再発の症例で、95%の再寛解導入率を報告している41)。
この群に対する標準的な寛解導入治療はない。第二寛解導入療法としてシタラビン大量とエトポシド併用療法43)、シタラビン大量とイダルビシン併用投与44)などが試みられている。後者の第二寛解導入率は82%であったが早期死亡10%と報告されている。英国MRCのデキサメタゾン/ビンクリスチン/L-アスパラギナーゼ/エピルビシンによる寛解導入治療は、研究対象群の18%が診断後2年未満再発の症例で、95%の再寛解導入率を報告している41)。
ドイツBFM研究のmatched-pair分析による観察では、再発高リスクで、化学療法53例全例が死亡し、非血縁者間骨髄移植(53例)の無病生存率は44±7%であり、移植治療で良好な治療成績であった35)。従って非血縁者ドナーを含めた同種骨髄移植が推奨される。この群では移植までの期間に高率に再再発するため、適切な強化地固め療法が必須である。
3. 中枢神経単独再発では髄注を定期的に施行し、全身化学療法および頭蓋脊髄放射線照射を行う。
エビデンスレベル:Ⅱ 勧告グレード:B
枢神経単独再発に対する治療は、髄注(一般的に週1回で4~6回投与、その後6週に1度)に加え、全身化学療法さらには頭蓋および脊髄に対する放射線照射が行われてきた。これらの治療にて46~70%の無イベント生存率が得られている。表1ではLateの再発はSRに分類され、比較的予後良好である。一方で骨髄との同時再発例は予後不良であるため、造血幹細胞移植を含んだ治療が行われている。中枢神経単独再発に対する造血幹細胞移植は現在のところ報告は限られており、今のところ優位性は証明されていない45,46,47)。
4. 睾丸単独再発では全身化学療法に加えて、両側睾丸への放射線照射を行う48)。
エビデンスレベル:Ⅳ 勧告グレード:B
治療中の睾丸単独再発症例は3年無病生存率40%と予後は不良であるが、表1でSRに相当する後期再発では84%と良好である48)。治療終了時の睾丸生検では、再発の早期発見はできない。
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